Dr.輝夫ブログ
大英博物館 ミイラ展
国立科学博物館の特別展『大英博物館 ミイラ展』を観てきました。
6体のミイラが布で覆われている状態での展示なのですが、最新のCT画像により骨格を透視したビデオも見ることができ歯列の状態も観察することができました。6体のうち3体は40歳前後でお亡くなりになった、比較的身分の高い男性のもので、中年の女性と、二十歳前の男性と幼児のものが1体づつありました。幼児の歯列には乳歯とこれから生えてくる永久歯が乳歯の奥に埋伏されている状態が確認できました。当たり前のことですが、3000年前も今の同世代と同じようだったのでしょう。何が死因だったのかはわからないようですが、当時は今とは比べられないくらい幼児の死亡率が高かったようです。小さくてミイラにされるとは、親御さんの悲しみの大きさが推測されます。
3体の40歳前後で亡くなった男性は皆かなり重症の歯周病であったことが解説されていましたが、それはCT像でも確認できました。日本で発掘された3000年ほど前の骨格を何体か見たことがありますが、それらに歯周病に罹患されている歯列を見かけたことはありません。当時のエジプトの身分の高い人たちは歯や歯周病に良くない美味しいものを食べ放題食べることはできても、口腔衛生に留意することはなかったからなのでしょう。それに比べ、日本の同時代の縄文人は歯に悪い砂糖類を食することができなかったので、歯ブラシなどは多分しなくても歯の健康が保たれたのかもしれません。
中村歯科クリニック
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