Dr.輝夫コラム
睡眠時無呼吸症候群
当院での睡眠時無呼吸症候群用の口腔内装置
睡眠時無呼吸による交通事故が度々報道されるようになりまして、だいぶ睡眠時無呼吸症候群の危険性が、社会に浸透してきたように思われます。でもまだ、いびきをかきながら寝ている睡眠時無呼吸症候群の疑いが持たれていても、他人事のように気にかけてない人も多くおられるような気がします。あるデーターによると日本国内における睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は500万人と推定され、そのうち治療を受けているのは50万人とのことです。
睡眠時無呼吸症候群の方は日中眠くなるために交通事故を起こすリスクが高いのですが、それだけでなく、睡眠時の無呼吸によって血圧の上昇や脳梗塞、心筋梗塞などの命に関わる疾患を招くこともあります。実際に睡眠時無呼吸症候群の方は正常者に比べ、死亡率が高いというデーターがいくつか発表されています。
こんなに危険な症候群なのに、放置されている方が多い理由は、中程度以下の睡眠時無呼吸の場合はほとんど自覚症状がないからだと思われます。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、人工呼吸器を携帯用にしたような CPAPという装置を装着して、無呼吸の状態を装置が感知したらすぐに空気を肺に送り込み、酸素不足にならなくする方法が一般的です。
そのような装置を装着するのに抵抗がある方は、減量したり、睡眠時の体位を仰向きではなく、横向きにして気道の閉塞を防ぐことが良いとも言われますが、確実に改善されるとは言えないようです。特に日本人含む東洋系の人種は欧米人と比べ、比較的やせタイプでも睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言われています。
今回はそのような、肥満タイプでないやや重症の睡眠時無呼吸症候群の患者さんで、 CPAPを使用したくないから、口腔内のマウスピースで対応したいという症例のデーターを掲示させていただきます。7年前当院で製作した装置を今でも使用中です。
口腔内マウスピースは舌が咽頭に重力で沈み込んで気道を塞がないよう下顎を前に出して若干受け口のような位置で製作します。
仰向きに寝ると舌の奥の部分が咽頭に落ち込みやすくなります。
左が下顎を前に出したレントゲン像で右は普通に噛んだ時の状態。
下顎の前方への移動量を計測する。
装着感を良くするため一般的なプラスチックのものではなくシリコン製にします。
装着前の2014年のデータ(左)と継続して使用中の最近のデータ2021(右)も掲示します。
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